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商標事件簿3

商標事件簿3

ここでは、商標に関係する興味深い事件や裁判例を紹介します。

デールカーネギー事件

 成功哲学で有名なデールカーネギーの商標に関する事件です。
「印刷物」を指定商品とする登録商標「DALE CARNEGIE」に対して不使用取消審判(商標法第50条)が請求されました。原告の商標権者は、人間の能力開発方法に基づく教育事業に関する講座を提供していて、そこで使用している教材を使用の事実を示す証拠として提出しました。
 判決は、
「本件印刷物は、専ら本件講座の教材としてのみ用いられることを予定したものであり、講座を離れて独立して取引の対象とされているものではないので「商品」ではない。表紙の記載は講座名を示すものであり、本件講座という役務の出所または役務の内容を表示するものであって、印刷物自体の識別表示と解することはできない」
として取消審決を支持しました。
 商標法上の商品とは「商取引の目的たりうべき物、特に動産をいう」といわれています。
要するに、登録商標「DALE CARNEGIE」は「自己啓発講座」という役務に使われているものであり、「印刷物」という商品に使われているものではないということです。
 商標登録をするに際しては、指定商品・指定役務が重要であることを示す事件です。

「キューピー図形」無効審決取消請求事件

 これは、指定商品を「調味料・香辛料他」とする「キューピー人形の図形」の商標権者であるQ社が商標登録の無効審判を請求され、その請求棄却審決に対して審決の取消請求の訴えがあった事件です。
 無効審判の請求理由は、登録商標はローズ・オニールが創作して日本でも大流行となったキューピー人形を冒用しているから、公序良俗に違反するから登録は無効である、というものです。
 これに対して判決は、特許庁の審査官に無登録で発生する著作物について、その著作物に依拠して商標が作られたか否かを判断させるのは困難であり、仮に著作物と抵触していればその商標は使用することができないから不当な結果を招くことはない、として請求を棄却しました。
 創作した時点で無登録で発生する著作権は数知れず、その著作権との抵触を審査の段階で調査するのは不可能であるから、このような事件は特許庁の判断になじまないということでしょう。

ウイルスバスター事件

 パソコンのウイルス対策用ソフトで今は有名な「ウイルスバスター」について商標権者から使用の差止請求があった事件です。
 原告Xは指定役務を「電子計算機のプログラムの設計・作成及又は保守」とする商標「ウイルスバスター」の商標権者でした。被告Yは自己が設計したコンピューターウイルス対策ソフトウェアを記録したフロッピーディスクとCD-ROMにY商標を付して販売していました。
 そこへ、Xが使用の差止を請求したのです。このときXは登録商標の使用をしていませんでした。
 これに対して裁判所はその請求を棄却しました。理由は、
①登録商標は「ウイルス」と「バスター」から構成され出所識別力が乏しい
②Xが「ウイルスバスター」を全く使用していないため、Xの商標には信用が化体していない。
③YはXの商標出願時から継続的にY商標を使用している。
④平成9年ごろには「ウイルスバスター」の表示が、コンピューター利用者の間でYの販売するウイルス対策用ディスクを示すものとして著名になっている。
以上から、Xの権利行使は権利乱用として許されない、というものです。
 商標権取得時において商標権者に不正の目的が認められない場合にも、権利乱用の抗弁が認められた裁判例です。

Tarzan商標登録無効審判請求不成立審決取消請求事件

 皆さんは、ジャングルの王者ターザンをご存じですか?米国の作家バローズの小説シリーズ「ターザン・シリーズ」に登場する主人公の名前ですね。
 「アー、アー、アー」と雄叫びをあげながら木のツルにぶら下がって木から木へ飛び移っていく姿を、私は幼いころよくテレビで見ていました。
 この事件は、「プラスチック加工機械器具、プラスチック成型機用自動取出ロボット、チャック(機械部品)」を指定商品とする登録商標「Tarzan」に対して請求された商標登録無効審判の不成立審決を不服として審決の取り消しを求めた訴訟です。
 裁判所の判断は、
「日本では広く知られていないものの、独自の造語による「ターザン」は、具体的な人物像を持つ架空の人物の名称として、小説ないし映画、ドラマで米国を中心に世界的に一貫して描写されていて、『ターザン』の語からは、日本語においても他の言語においても他の観念を想起するものとは認められないことからすると、我が国で『ターザン』の語のみから成る本件商標登録を維持することは、たとえその指定商品の関係で『ターザン』の語に顧客吸引力がないとしても、国際審信義に反するものというべきである。--中略-- 一定の価値を有する標章やキャラクターを生み出した原作小説の著作権が存続し、かつその文化的・経済的価値の維持・管理に努力を払ってきた団体が存在する状況の中で、上記著作権管理団体等と関わりのない第三者が最先の商標登録出願を行った結果、上記著作権管理団体による利用を排除できる結果となることは公正な取引秩序の維持の観点からみても相当とはいい難い」
 として、この登録商標は商標法4条1項7号(公序良俗)違反であると判断しました。
 別の著作権がらみのキューピー事件とは異なった結果となっています。
 うーん、著作権は難しい。
 

ワイキキ事件

 この事件は、指定商品「せっけん類(薬類に属するものを除く)、歯みがき、化粧品(薬類に属するものを除く)、香料類」とする「ワイキキ」の文字からなる商標について、商標法3条1項3号の「商品の産地、販売地・・・を普通に用いられる方法で表示する標章」に当たるとして無効不成立審決を取り消した原審判決に対して、商標権者Yが上告した事件です。
この上告は
「商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たしえないものであることによるものと解すべきである。
叙上のような商標を商品について使用すると、その商品の産地、販売地その他の特性について誤認を生じさせることが少ないとしても、このことは、このような商標が商標法4条1項16号に該当するかどうかの問題であって、同法3条1項3号にかかわる問題ではないといわなければならない。そうすると、右3号にいう『その商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』の意義を、所論のように、その商品の産地、販売地として広く知られたものを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであって、これを商品に使用した場合その産地、販売地につき誤認を生じさせるおそれのある商標に限るもの、と解さなければならない理由はない」
として、上告を棄却しました。

これは、①商標法3条1項3号の標章は一般的に使用される標章であって、多くの場合自他識別力がなく、商標の機能を果たさないものであることに加えて、②特定人によるそのような標章の独占使用を認めるのは、公益上適当でない、との趣旨を示しており、同法3条1項3号の趣旨を従来より広く解釈しています。

同法3条1項3号の特例である地域団体商標は、公益のためであるからこれに反しないということになるようです。

ターローメン事件

 この事件は、指定役務を「中華そばの提供」とする商標「ターローメン」について、「ターローメン」の名称が「主に豚肉の厚切り肉を盛りつけたラーメン」を示すものとして一般的に使用されているから識別力がないとして拒絶された審決の取り消しを求めた事件です。
 判決は、
「太肉麺」の語は、原稿が発案した造語であり、同様に原告が発案した「ターローメン」という本願商標も「太肉」という漢字の音読にはない「ターロー」と「麺」の音読みである「メン」とを結合して親しみ易い称呼として、原告が提供するラーメンの標識として、約20年間という長期間にわたって使用されてきたものである」
 ということで、審決を取り消しています。
注目されるのは、被告が指摘した雑誌に「太肉麺」、「ターローメン」等の名称でラーメン店を提供する店が記載されている事実についての裁判所の判断です。
裁判所は、
その雑誌の発行年月、インターネットの検索時期よりすれば、それは最近の比較的短期間のことであり、審決の時点や現在においても、その余のほとんどの店では「太麺」、「ターローメン」の標章は使用していない、
と述べています。

 数店舗程度が使用するようになったからといって、一般に使用されているとはいえない、ということです。
 独自に創作した造語が商標登録する前に、誰かに使われ始めても、その数が少なければ登録される可能性がある、ということですね。

月の友事件

 指定商品を「被服、布製身回品、寝具類」とする商標「月の友の会」の商標権者Xに対して、商号を「株式会社月の友の会」とするYが商標登録の無効審判を請求したところ、特許庁は請求が成り立たない審決をした。
 Yはこの審決取消訴訟を提起し、登録商標はYの商号から株式会社を除いた「月の友の会」と同一であると主張したが、裁判所はこの請求を棄却した。
 Yはこの判決も不服として、上告したが、裁判所はやはりこの上告も棄却した。
 理由は、登録商標は「株式会社月の友の会」から株式会社の文字を除いた部分と同一のものであり、他人の名称の略称からなる商標にほかならないものであって、Yが商標登録を受けられないのは「月の友の会」がYを表示するものとして著名であるときに限られる、というものです。
 株式会社の商号から株式会社を除いた部分は商標法4条1項8号の「他人の名称の略称」に該当するということですね。

@Digital事件

 この事件は商標登録の拒絶審決の取り消しを求めて提起された訴訟です。
出願人は商標「@Digital」を指定商品を「配電用又は制御用の機械器具、回転変流器、調相機・・・」として商標登録出願をしましたが、拒絶審決がなされました。これを不服として提起された審決の取消訴訟を裁判所ほ以下の理由で棄却しました。
 本願商標は「@」の記号と「Digital」の欧文字を組み合わせた造語であって、全体としては熟語的意味合いを有しないこと。「@」は、単価や電子メールアドレスでユーザー名とドメイン名を区切る記号として使用され、・・・・「Digital」の欧文字は「デジタル」と片仮名で表記され、・・・最近では商品がデジタル方式であることを示す語として、それが広く一般に知られていることが認められる。
そうすると、「Digital」の欧文字に「@」の記号を付した本願商標に接した需要者は、「@」に特別な意味があるとは考えずに、当該商品がデジタル方式であると理解するか、インターネット上で取引されるデジタル型の商品の意味合いを認識するにとどまるものと認められる。
したがって、本願商標をその指定商品中の「デジタル型の商品」に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないというべきである。
 なるほど「At Digital」ならよかったのでしょうか?

車文化の創造事件

 これは指定役務を「自動車運転・道路交通法の教授」として出願された商標「車文化の創造」についての拒絶審決取消訴訟事件です。
判決は、以下の理由により訴えを棄却しました。
 自動車教習所、自動車学校は、需要者である受講対象者に対して、運転技術を習得させて自動車の保有、利用よる利便性のみならず、広く交通安全教育、交通マナー・道徳教育を実施することも重要視されているのであり、調和のとれた社会を実現するに際して重要な役割を担っている。このような状況に「車文化の創造」の語が自動車に関連する分野で一般的な用語として使用されていること、・・・を考えると、これに接する一般の需要者は、自他役務を認識すべき商標として認識することは困難であるといわざるを得ない。
 自動車関連分野では、「車文化の創造」が一般的に使われいるため、これを商標として使用しても、自他識別力が発揮できないということでしょう。これが独占されれば社会に混乱を生じるという心配もあったのでは、と考えます。

クラスター水事件

 これは「水」を指定商品とする商標「クラスター水」の拒絶審決取消訴訟事件です。
 判決は次の理由により請求を棄却しました。
水の分子集団(クラスター)を小さくすることにより、水の性質が変わり、水がおいしくなるなどの効果があると報道されてきた実情があるので、これが科学的に実証されていることを認めるべき証拠はないが、「クラスター水」の語に接した需要者はこれが水の性質が変わるなどの水の性質であると容易に認識することに変わりはない。

フラワーセラピー事件

 この事件は「フラワーセラピーに供する花」を指定商品とする商標「フラワーセラピー」について、「フラワーセラピー」の語が「花を手段とする治療、療法」の意味合いを有することは容易に認識でき、その品質用途を表すものとして取引者・需要者に認識されるから、識別力がない、とされた事件です。
 この事件で出願人は「花療法」の別件商標が特許庁において商標法3条1項3号に該当しないと判断された事例を示しましたが、裁判所は、これにより判決が左右されるものではない、としました。
 「花」という商品でも役務である「フラワーセラビー」がその「花」の用途であると判断されています。

介護タクシー事件

 この事件は指定役務を「タクシーによる輸送、車椅子の貸与」とする出願商標「介護タクシー」について、商標法3条1項3号、同法4条1項16号に該当し、登録できないとされた事件です。
 「介護タクシー」を指定役務中「介護タクシーによる輸送、車椅子の貸与」の役務に用いる場合は、「その役務の質、用途、態様を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当し、これを「通常のタクシーによる輸送」に用いる場合は需要者に役務の質などの誤認を生じさせる恐れがあるものとして、登録されない、というものです。
 指定役務のある部分が同法3条1項3号に該当すると、セットで他の部分は同法4条1項16号に該当すると判断されることがよくあります。

管理食養士事件

 この事件は「印刷物」を指定する商標「管理食養士」が国家資格と誤信されるから登録できないとされた事件です。
 判決の要旨は以下のとおりです。
「管理栄養士」と「管理食養士」とは、その外観、称呼、観念において類似するものであって、あい紛らわしく、他方「管理栄養士」が、一般的に宣伝広告され広く普及した国家資格として、その存在及び活動内容が国民によく知られていることを考慮すると、本願商標である「管理食養士」に接する需要者、取引者が、これを国家資格である「管理栄養士」に関連した新たな公的職業資格であるかのように誤信する場合があることは否定できないから、このような商標は、国家資格に対する一般国民の信頼性を損なうものであり、社会公共の利益に反するものとして、その出願を拒絶すべきことは明らかといわなければならない。

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